「寝る前にコーヒーを飲むのは良くないよね」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
それはコーヒーに含まれるカフェインが原因。
不眠症で悩んでいる人はカフェインが原因ということもあります。
この記事では、カフェインによる「眠れない」の原理とその対策を解説していきます。
Contents
なぜカフェインを摂取すると「眠れない」のか原理を解説
カフェインが睡眠に与える影響を調べた実験
カフェインが睡眠に与える影響を調査した実験があります。
影響調査のため、デトロイトのヘンリーフォード病院での実験が行われました。
参考:Caffeine Effects on Sleep Taken 0, 3, or 6 Hours before Going to Bed
被験者12名に対して以下の条件でカフェインが睡眠に与える影響を調査。
実験の条件
プラシーボ(カフェイン抜きの偽薬)
眠る直前にカフェイン摂取
眠る3時間前にカフェイン摂取
眠る6時間前にカフェイン摂取
被験者に対して摂取してもらうカフェインの量については400㎎に設定。
4つのパターンでの睡眠に対する客観的評価と主観的評価を調べました。
客観的評価とは被験者の脳波計による評価。
主観的評価は睡眠日記のような被験者自身が評価。
客観的な評価については以下の表に示します。
プラセボ | 入眠時 | 3時間前 | 6時間前 | |
入眠潜時(分) | 20 | 43 | 37 | 44 |
睡眠時間(時間) | 7.6 | 6.6 | 6.5 | 6.5 |
睡眠中起きている時間(分) | 9.5 | 27 | 37 | 17 |
入眠潜時はベッドに入ってから眠りにつくまでにかかる時間のこと。
人は目を閉じたらスグに眠ることはなく時間はズレるもの。15分や20分程度かかります。
この入眠潜時はカフェインを摂取するとプラシーボに比べると倍の時間がかかっています。6時間前にカフェインを摂取した場合でもカフェインの影響により入眠までにかかる時間が40分以上かかっていることが分かります。
次に睡眠時間です。
これは入眠まで時間がかかっているため、カフェインを摂取した場合は当然、睡眠時間は減少しています。1時間も睡眠時間が少なくなっていることがポイントです。カフェインを摂取してしまと6時間前であっても睡眠時間が1時間少なくなってしまうのです。
次に、睡眠中に起きている時間です。
カフェインを摂取していると睡眠中に起きている時間が増加しています。これはカフェインの効果によって覚醒しやすい状況になり眠りが浅くなってしまっていることが考えられます。
以上が客観的な評価です。
この実験では主観的な評価も同時にしていたため、その結果を以下に示します。
プラセボ | 入眠時 | 3時間前 | 6時間前 | |
入眠潜時(分) | 21 | 56 | 62 | 44 |
睡眠時間(時間) | 7.8 | 6.9 | 6.7 | 7.1 |
睡眠中起きている時間(分) | 11 | 9 | 17 | 9 |
次の2点がポイント。
睡眠時間は実際の時間よりも30分程度長く寝ていると思っている点。
そして、睡眠中起きていた時間は10分程度少なく見積もっている点です。
自分が思っているよりもカフェインを摂取すると睡眠の時間は短く浅くなっているということが分かります。
カフェインの影響を受けている人は知らず知らずの内に睡眠不足になり、パフォーマンスが低下していることが考えられます。
特に日本人はもともと睡眠時間が短いと言われています。
その状態でカフェイン摂取により影響を受けているとすると、自分が考えているよりも短い睡眠時間になっている可能性あり。
6時間の睡眠をつづけると酔っ払いと同じような思考力まで低下します。
この状態を何とかしようとカフェインの量を多くすると負のスパイラルに陥ること。
カフェインとアデノシンの関係
カフェインを摂取すると脳が活性化し眠りから遠ざける原理を説明します。
これにはアデノシンという物質が関係しています。
人は生活していると脳を活発に動かしています。そのとき生まれるのがアデノシン。
このアデノシンは、アデノシン受容体に結合します。
結合することで脳は疲れたと感じ眠たくなります。
アデノシンにより眠気を感じますが、このアデノシンとカフェインは似たような構造体をしています。
本来アデノシン受容体に結合するのはアデノシンです。
しかし、似た構造をしているカフェインがアデノシンの代わりに「ピタッ」とくっつきます。
この特性は日中あれば、プラスに働かせることができます。
例えばコーヒーを飲むことで頭を活性化させ、仕事に集中できたり。
しかし眠りたいときは別。
本来、脳と体が疲れているのにそれに気付けなくなるとも言えます。
アデノシンが増加しますが、カフェインがアデノシン受容体にくっついているため眠気を感じなくなります。
この原理によりカフェインの影響で睡眠の質が悪くなってしまうのです。
カフェインが半分に減少するのにかかる時間は6時間程度。
例えばカフェインを400㎎摂取したら、半分の200㎎になるのに6時間。
100㎎になるのにさらに6時間かかります。
それだけ遅いため、先ほど紹介した実験のように6時間たっても睡眠に影響してしまうのです。
カフェイン摂取による「眠れない」を避けるための対策を紹介
眠れなくなることを防ぐためには、カフェインを体内に取り込まないこと。
そして、カフェインがどのようなものに含まれるのかを把握することが大切です。
カフェインが含まれる飲料を把握する
カフェインを知らず知らずのうちに体内に取り込んでいるということはあります。
それが原因で不眠症になることも。
カフェインと言えば「コーヒー」。
では、コーヒーだけ気を付ければいいのかというとそうではありません。
眠気覚ましによく使われるのはエナジードリンク。
100mlあたり32~300mgまで含まれるものもあります。
また、意外なのはお茶。
例えば、ウーロン茶には100mlあたり20㎎含まれます。
お茶なら大丈夫だと思っても「実は含まれる」ということはありますので気を付けましょう。
カフェインが含まれるを把握し就寝の6時前、出来れば14時ごろまでにカフェイン摂取を終わらせた方がベスト。
睡眠のことを考えるならカフェインレスの生活でいきましょう。
この記事のまとめ
この記事のまとめ
・カフェイン摂取は睡眠の6時間前まで
・カフェインが含まれるものを把握する
カフェインによる睡眠への影響は大変なもの。
カフェイン摂取で不眠症の原因となります。
カフェインが含まれているものを飲んでいるなら代わりのものを見つけましょう。
白湯、ホットミルクなどがオススメです。
以上、カフェインにより眠れなくなる原理についての記事でした。
ありがとうございました。